2022年7月25日 熊本
『CIMを学ぶⅣ』がようやく配布された。読後の感想は12月くらいには出てくるので、楽しみにしている。応用編の2本のレポートは、まさに発注者自らによるCIM活用の体験記である。熟読に値する。
本年度の『CIMチャンピオン養成講座』も先週土曜日で、3回目となった。宮崎河川国道事務所の松本氏に、『CIMを学ぶⅣ』応用編の「岩瀬ダムの取り組み」について、講演していただいた。CIMの本質をついた、極めてレベルの高い内容であった。
CIMモデルは展示する(Expose)ことに意義があるのではなく、検討する(Study)ために使うべきだ。検討目的を明確に示し、チームがその意図を共有する(つまり、検討のために活用する)いい方法はないかと考えて、4年くらい前に、「一言CIM」というのを提案した。CIMの前に単語を一つ付けましょうというだけだ。「共有CIM」、「分析CIM」でも何でもいい。チームがCIMモデルを使う目的を明示できればいい。
富山のあるダム事務所では、「経験豊かな副所長さんの経験(つまり、彼の脳みその中にある様々なモデル)を見える化し、全員が共有する」ということをCIM検討会の唯一無二の目標とした。ただし、そのような場合、何と命名するか、私は考えあぐねて副長の名前を付けることにした。いまでも、副長の名前(○○CIM)で通っている。なんとも分かり易く、CIM活用の目的が明快に示されている。
さて、4年前の話に戻る。大分川ダムで、いろんな△×という漢字を組み合わせて、一言CIMを作りだしたが、命名のみで、実動まで行ったものは少なかった。参加者の一人地松本氏だけが、転勤後、岩瀬ダムで実践した。しかも、図のように長期間にわたるダム再生事業の各段階でのCIM活用を前提として名前を付けている。この一連の命名は、発明だと思っている。これを眺めれば、各段階で担当者のCIM活用の方向性が見えて来る。
もちろんこの図は完成形ではないし、岩瀬ダム用に過ぎない。しかしCIMという道具を、「再開発ダム」でどのように使い続ければいいのかの明確な方向が見えて来る。事前にこの図を見せてもらい、当然のように「突込み」をいれ、言葉の明確化や補足(緑字)などを提案した。
それにしても、良く出来た図である。ダム建設を熟知し、かつ、CIMの活用法を理解していなければ、できないものである。この図はCIMが「CIM活用の専門家」の手を離れ、技術者の道具として、技術者自らが活用法を明示した最初の例ではないかと思っている。
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