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県庁と県警と石垣

2018年3月27日

 実はCIM関連のことで、福井にはよく出かけた。はじめは、日野川での樋門建設の施工手順をHP上に時系列で表示した。その後、コンサルさんとの勉強会で、MSSデータを用いた道路の設計に関する研究をすすめ、福井市内でも計測を行ってもらった。それに関連し、温泉旅館で、ゼミをしたこともある。構造物が道路にどのような影を落としか、とか、融雪装置の設計に点群データが使えるかとか、MMSデータから自動的の道路標識の位置を割り出せるかとか、楽しく研究した。関連した学位論文が2つ完成し、私とCIMの思い出の地となった。

 

 そして最後は、「福井CIM勉強会」である。河川CIMによる3次元河道設計の可能性に関する検討を行った。この年の2月初めに勉強会の初会合を開くはずであったが、例の大雪の直後で、会合どころではなくなり、一か月後に出直して、ようやく年度末に開催された。思い出深い出来事であった。その成果は『河川CIM標準化検討小委員会成果報告書』に詳述されている。

 

 さて福井には、興味深い城がいくつかある。一乗谷城や丸岡城、越前大野城などである。福井城には全く興味がなかったが、勉強会の合間に、まずは堀の周辺を散策した。なかなか立派な石垣である。そぞろ歩くには、街中にあるのでいい感じである。

 

 別の機会に、意を決して、中に入ってみた。立派な建物が2つ並んでいるのをみて、唖然とした。明治以降、城の跡地利用としては、①陸軍関係の施設、②県庁や市役所、③公園が3大事例だろうか。ここは、3つとも兼ねた事例である。

 

 ガッカリしながら散策。天守台を眺めると、安土城や岩国城を思い出した。この上に天守があったのかと思うと残念でならない。一方、各部分の復元計画があるらしく、それは楽しかった。福井の由来となった井戸は面白い。御廊下橋とか桝形門も往時をしのばれるものであった。特に石の瓦屋根というのは初めて見たように思う。

 

 私は、コンクリート天守閣の復元賛成派である。福井城では難しいとしても、場内のしかるべき場所に、姿や材料を出来るだけ再現した整備が進むのは、良いことだと思っている。いくら資料を見ても実感できないものが、空間のしかるべき場所に実体としてあることは、さまざまな感覚を呼び起こすし、知識としても得るものは大きい。

 

 いよいよ、写真の話。これは、福井地震によって、ずれた石垣らしい。先ほどの文脈でいくと、積みなおした方がいいということになりそうだが、これはこれで、立派な災害遺産である。こちらは、安全性を確保たうえで、このまま保存してほしいものである。

 

 福井城は、内堀散歩も含めれば、一見の価値はあると思いながら、街中の懇親会会場に向かった。気持ちよく酔えそうだ